« 2011年4月 | トップページ | 2011年6月 »

2011-05-12

未来を構想するのは学者と自民党世襲議員だけ

本日(12日)、政府は東電に対する賠償支援スキームを閣議決定するという(政府が東電の賠償スキーム提示、株主・社債権者の責任問わず | 国内 | 特集 東日本大震災 | Reuters)。

このスキームには既視感がある。
ダラダラと10余年にわたって続いた不良債権問題の銀行支援スキームとそっくり。
時間ばかり費やして、挙句の果てに誰も責任を取らないまま、おそらくはじわじわと国民負担ばかりが積み重なるように増えていく・・・・・・

池田信夫blog : 東電の分割で焙燥原資を」で池田先生が教えてくれた以下のような文章を読んだ。
ともに東電を解体し、発電と送電の分離(アンバンドリング)を行なうことで賠償原資を創出するというスキームである。

「復旧ではなく復興」を目指し、「エコタウン構想」といった未来志向の復興を語る菅首相。
ならば、どうして「送電・発電のアンバンドリング」を目指さないのか。
これこそエネルギー供給構造の大改革であり、最悪の原発事故をして「禍転じて福となす」ことのできる政策ではないか。
「エコタウン構想」なんかより「東電エリアのアンバンドリング」のほうが、ずっとずっと未来を見すえたでっかい改革であるのは言うまでもない。

永田町界隈では自民党の河野太郎議員が、たいへん立派なことを言っている(政府与党案をぶっつぶせ|河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり)。
まったく同感せざるをえない。

自公嫌いの私にとって、とても残念なことなのだが、この三日月顔の自民党・世襲代議士に「義のようなもの」を感じてしまう昨今・・・・・・ああ、情けない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011-05-11

釈然としない原発賠償支援策、高橋洋一氏の提言を聞く

福島第一原発の事故の被害者の方々に対する損害賠償問題。政府支援の枠組みが、大筋固まったと大手メディアは報じている。

東日本大震災:福島第1原発事故 政府、賠償機構新設で合意 東電資産買い取りも

    東京電力福島第1原発事故の損害賠償問題で、政府は10日、官民出資の「原発賠償機構(仮称)」の新設を軸とした賠償支援策で大筋合意した。東電の追加リストラ策などを見極めた上で、週内にも発表する。東電は損害賠償の財源とするため、機構に5000億~8000億円の資産売却を検討。一方、政府は官邸に設置する調査委員会で資産調査や経営監視を行い、公的管理下でリストラと賠償を進める方針だ。

   賠償策では、東電を含む原子力事業者の負担金で機構を新設。事業者の負担金と、国が発行する交付国債を裏付けとする資金をもとに、東電に対する融資などの形で賠償の財源を供給する。東電は毎年の利益から、1000億~2000億円程度を機構に返済する。

   一方、巨額の資産を保有する東電は、機構に一括売却することも検討する。資産売却を急速に進めると、不動産や株式市場に下落圧力が強まり、十分な売却益を得られない可能性もあるためだ。機構が一時的に引き取れば市場への影響を考慮しながら処分できる。

   東電は、資産売却と合わせて機構に優先株の引き受けを求めて賠償財源を確保する他、資産の証券化なども検討する。足りない分は、機構から融資などの資金支援を受ける。政府は東電の事業計画を認可する形で公的管理下に置き、リストラの進捗(しんちょく)状況などを監督する。政府はこれらの措置を盛り込んだ法案を今国会中に提出する。

    政府の支援を受けるにあたり、東電は国民の理解を得るために10年程度、株式配当を見送る。政府は、機構を通じて東電の優先株を引き受けるほか、金融機関の東電への融資に政府保証をつけるなどして、東電の資金繰りを全面支援することを検討している。【坂井隆之、大場伸也】
[東日本大震災:福島第1原発事故 政府、賠償機構新設で合意 東電資産買い取りも - 毎日jp(毎日新聞)]

何だか釈然としない。どうしてなんだろう? と自問すると、結局、「東電は株式会社という形態をとった私企業」であることに行きつく。
そうである限り、株式会社制度にもとづく責任は果たさなくていいのか。具体的には、株主責任や金融機関の貸し手責任などは問われないのかという問題だ。

中途半端な「公的支援策」は問題解決を遠のかせ、最終的な国民負担を増大させることは証明済みである。日本国民ならば、バブル崩壊後の不良債権問題の処理プロセスで身に沁みて経験したことではなかったか。

高橋洋一先生は、「小泉構造改革」がもたらしたほとんど唯一の成果である不良債権の処理を実務的に支えた天才的な官僚=エコノミストである。その彼が支援策に反対し、「東電を解体、電力業界に新規参入」で電気料金を値下げし、国際競争力アップを図れと主張している。

 これまで報道されているものを見ると、東電負担はほとんどない。世間が求める経営者・従業員のリストラは当人たちにとっては厳しくても、その金額はそれ ほど大きくない。もっとも企業年金までカットできれば、東電負担を数千億程度増やすことができる。その場合、その分国民負担が減ることになるが、企業年金の話はでていない。

 海江田万里経済相は、東電株主を救済する意向を示している。東電の個人株主は多く、天皇家もそうだといわれている。しかし、いくら優良株といって も株式は株式で、会社に何かが起こったときにはそれを負担するリスクバッファーの役割を担っている。それにもかかわらず保護されるというのは日本経済が異質であることを世界にいうようなものだ。

 もし株主に本来の役割を持たせるなら、例えば100%減資すれば、2.5兆円程度も国民負担は減少する。逆に今の政府案のようにすれば、その分国民負担が増えることになる。

 政府が株主を救済するのであれば、当然債権者も保護されるだろう。もし債権をカットすれば、その分国民負担は減る。

高橋先生は、市場経済のルールの尊重をただひたすら固守しようとしているわけではない。東電が金融機関から借りている負債については、被害者に対する賠償責任を優先せよと主張している。
市場経済における公的関与というのは、このような形を取るべきでないのか。

もっとも債権のカットには技術上の問題がある。電気事業法37条に基づく一般担保による優先弁済だ。金融機関関係者はこれを主張し、被災者への賠償より自らの債権を優先弁済すべきという。

 まず担保でカバーされている東電の債務は、負債計10.7兆円のうち5.2兆円しかない。しかも、カバーされていても、もし人道上の理由により被災者への賠償を先に実施して東電資産が目減りすれば、その範囲で担保権を行使するしかない。

 被災者への賠償は人道上の問題である。その点を絶対考慮すべきであり、通常の求償権と同列に扱って、被災者より債権者を優先すべきというのはいかがなものか。今の政府案は、株主と債権者を先に保護するが被災者の救済は後回しにして人間的な配慮が欠けているといわざるをえない。

政府=東電が押し切ろうとしている支援のスキームであれば、どうみても電力料金を上げざるをえない。

日本の電力は他の先進諸国と比較すると、明らかに高いのが現状である。
高橋先生は、これを機に電力政策を転換し、「禍を転じて福とせよ」と主張している。

大賛成である。
発電と送電を分離することは、太陽光、太陽熱、風力、地熱、バイオマス、小規模水力などなどの新エネルギーを活用していくための基礎的な前提条件となるだろう。
通信の世界で起きたことを電力の世界でも、いまこそ起こすべきなのだ。

いずれにしても、今の政府案のように、株主、債権者を守って東電を温存すると、その分国民負担にはね返ってくる。さすがに、東電の不始末のために増税は言えないので、国民負担は電力料金の値上げである。

 この値上げは、日本の産業力を大きくそぐことになる。ちなみに、今でも日本の電力料金は高い。それが数%から2割程度さらに高くなる。

 一方、株主・債権者に負担を負わし、電力事業を継続しながら東電を解体すると、電力料金の引き上げではなく、逆に電力事業への新規参入によって電力料金の引き下げることも可能だ。ピンチをチャンスに変える政策だ。

 電力が地域独占というのは経済学の教科書にもあるが、それは電力事業のためには巨額な設備投資が必要だから自然独占になると説明されてきた。とこ ろが、電力事業を発電と送電に分けると、そのロジックは送電に当てはまるが、発電は最近の技術進歩によって当てはまらなくなった。

 ということは、電話では電話網を開放していろいろな事業者を新規参入させ電話料金が低下したように、送電と発電を分離し、送電網を開放し発電では新規参入させたほうがいい。

 私の知っているだけでも、エネルギー関係や他の公益事業など多くの業者が新規参入を考えている。また、省エネに役立つスマートグリッドが日本で進んでいないのは、送電網が開放されていないからだ。

かつて日本の電力料金が高いのは停電がないからだと豪語されていたが、今は無計画な「計画停電」があるので、そんな強弁もできない。

 東電温存で電力料金引き上げか、東電解体で新規参入させ電力料金引き下げのいずれの政策をとるかで、日本の産業界は大きく変わるだろう。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011-05-10

反原発・脱原発デモ、大手メディアも無視できない

高まりを見せる「反原発・脱原発デモ」を朝日新聞が報じている。

朝日に限らず大手メディアを支配する原則は、いつでもどこでもオポチュニズム(ご都合主義、日和見主義)だけ。
それを思えば、こうした記事が掲載されるようになったこと自体に意味がある。

状況が大きく動いている。福島第一原発の悲惨な事故に対しては、大いなる怒りと深い悲しみを禁じえない。だが、悲劇を受けとめて、現実を変えようとする人々が存在することは救いだ。喜ばしい限りである。

しかし、問題はこの記事が「文化面」に載っていること。
デモが大きく拡がり、「政治的=社会的な危機」として政治面や社会面を大きく飾るようになることを祈りたい。

相次ぐ原発デモ 若者や知識人の参加も 

 福島第一原発の事故を機に、東京都内で反原発デモが相次いでいる。知識人の参加も目立つ。

 日本消費者連盟などが参加する実行委員会が主催して4月24日に都内2カ所で開かれた集会とデモには、主催者発表で計約1万人が参加した。デモの列の一つには評論家、柄谷行人の姿があった。

 「デモに来るのは50年ぶり」と柄谷。「デモは一番大事な原点。どこの国でもやっているのに、日本では議論はあっても行動がない。もう議員や評論家には頼めない。今は、物を書くことよりデモをすることが大事だ」と語る。

「日本でデモがなくなったのは1970年代から。原発が増え始めたのと同じ時期だ。政権交代があっても何も変わらなかった。デモをやるしかない」

 柄谷に誘われて参加した北大教授の政治学者、山口二郎は「デモクラシーは議会の中だけではなく街頭にもある」と話す。「政権交代には限界がある。社会の力で現実を変えていかないと政府もついてこない」とデモの意義を改めて強調した。

 新しい動きもある。リサイクル店「素人の乱」などを経営する松本哉(はじめ)らが呼びかけた「超巨大反原発ロックフェスデモ」が4月10日に高円寺で行われ、今月7日にも渋谷で同様のデモがあった。ともに主催者発表で1万5千人が集まった。主催者による団体動員はなく、インターネットを通じてデモを知った20代から30代の参加者が中心だった。

 7日のデモ出発前の集会でマイクを握った首都大学東京教授の社会学者、宮台真司は「デモは単なる出発点。政治家には落選運動、企業には不買運動といったピンポイントで有効な徹底した社会運動を展開していかなければならない」と訴えた。(樋口大二-2011年5月10日15時48分)
[asahi.com(朝日新聞社):相次ぐ原発デモ 若者や知識人の参加も - 文化トピックス - 文化]

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011-05-08

反原発・脱原発の動きをもっと広げていきたいな

5・7原発やめろ渋谷デモ」。
さすがに大手新聞なども報じたね。これまでも各地で反原発・脱原発の集会・デモは継続的に行われていた。だが、マスメディアはほとんど無視し続けてきた。
その背景には、大広告主である電力会社などからの圧力に対する恐怖があるのは明らか。加えて、「反原発なんてニュースにならない」というメディアの軽薄な思い込みもあるのだろう。。
だが、そんなメディアも変わらざるをえない。その意味でも「3.11-Fukushima」の衝撃は大きい。この国の腐敗したメディアも、さすがに少しは動揺したようだ。

「原発廃止」渋谷で音楽デモ  首相の浜岡停止に評価の声
 福島第一原発の事故を受けて「原発廃止」を訴えるデモが7日、東京・渋谷を中心に行われた。東京・高円寺のグループがツイッターなどを通じて呼びかけたもので、約1万5千人(主催者発表)が集まった。
 前日に菅直人首相が発表した浜岡原発の停止方針には、評価する声があがった。プラカードに「菅総理 他の原発もよろしく」と書いた港区の女性(40)は「稼働している原発はまだ多い。エネルギー政策の見直しをさらに進めるべきです」。主催者の一人、松本哉(はじめ)さん(36)は「各地で起きている『反原発』の声が浜岡停止の判断に影響しているはず。原発の廃止に向けこれからも声を上げ続ける」。
 20代の参加者も目立った。デモは、トラックの荷台に乗り込んだバンドが隊列を先導するスタイル。仮装したグループも多く、お祭りムードで、友人に誘われて新宿区から来たという道脇由美さん(27)は「昔ながらのシュプレヒコールを繰り返すデモではなく音楽のデモだから参加しやすい」と話した。 [asahi.com(朝日新聞社):「原発廃止」渋谷で音楽デモ 首相の浜岡停止に評価の声 - 社会]

Youtubeで眺めると、若い人々がたくさん集まっていて楽しそうだ。 「原発!!、卒業!!」というチャント、「原発!!、ありがとう!!」という苦いジョーク、いまの若い子たちの優しさがよく表現されているようで可愛らしい。こういう感性はステキだよ。

わたしが信頼を寄せる知識人たちもデモに出ているようだ。
柄谷行人先生はお弟子さんたちといっしょに集会に参加している。4月24日の集会に翻っていた「長池評議会」の旗がネットにアップされていた(Lockerz.com .:. akiba's Photos -)。

私は、現状において、反原発のデモを拡大していくことが最重要であると考えます。したがって、当面、「長池講義」に代えて、抗議デモを行います。デモには「長池評議会」という名で参加します。皆さんの御参加を呼びかけます。  ──柄谷行人 [長池講義]

宮台真司先生も駆けつけて、スピーチしている。

まったくその通りだよ。「いまさら止められない」といって戦争に突っ込んでいっていったん破滅したこの国。またまた「いまさら止められない」といって原発事故で破滅の縁まで行っちまった。
宮台先生のいうようにデモや集会だけでなく、原発推進論者の政治家を「落選させる運動」や日立、東芝、三菱重工などなどの原発関連企業に対する「ボイコット(不買運動)」なども広げていくべきだろう。

デモの中でマイクを握る若い女性が「原発をやめさせるために、何でもやる。自分たちの未来のために何でもやる」と決意を語っていた。
そうだ、その通りだよ。自分のできる範囲で何ができるか考え、小さなことからやっていきたいな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年4月 | トップページ | 2011年6月 »