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2010-06-06

@takagengen、楽しい政治を語る

高橋源一郎さんがTwitterで語る「午前0時の小説ラジオ」。彼のTwitterによって発信される深夜の政治論の第2回目ということになるのかな。
今度のタイトルは「楽しい政治」。面白そうなので、自分が読みやすいように勝手に引用させてもらうことにした。悪しからず。

こうしてみると、Twitterというツールは有名人(セレブ)たちにとって、コストのかからない優れたプロパガンダ手段であることが分かる。源一郎先生のこの試みにしても、近作「『悪』と戦う」の販売促進のためのキャンペーンとして始まったようなものだ。

源一郎先生に限ったことではないが、セレブたちの「囀り」は、ネットワーク理論でいうところの「ハブ」を形成し、アクセスの集約的な中心核として機能することだろう。その点でいえば、相互的なコミュニケーションの手段として喧伝されることの多いTwitterにしても、ブログなどのウェブサイトと大した違いはない。

セレブの「囀り」が「ハブ」となるのであれば、その他大勢の有象無象の「囀り」は、どうなんだろう?
おそらく、ほとんどは「誰もが互いに聞きたくもない独り言」として垂れ流されるだけ。そう思うと自分としては、なるべく「囀らないほうがいい」と思うようになった。
確かに自分の「囀り」のような「ノイズ」にも、情報論的には意味が隠されていることもあるだろうけれど(「宇宙マイクロ波背景放射 - Wikipedia」の発見はノイズの検出からだった)、一般的には雑音は雑音でしかない。その限りにおいて、ネット世界はTwitterが普及する前も後も相変わらず、不均衡かつ不平等な世界であり続けているのだろう。

高橋源一郎 @takagengen

  1. 「午前0時の小説ラジオ」・「楽しい政治」1…およそ40年ほど前のことです。その頃、日本中の大 学で「70年安保闘争」のためのバリケードが作られていました。その大学でも同じでした。そして、学生たちは、バリケードの中で、本を読んだり、討論した り、寝たり、恋愛したりしていたのです。
  2. 「楽しい政治」2…そんな、あるバリケードの中で、Aさんという女の子が、デモの時にかぶるヘル メットを眺めていて、突然「こんなのかぶってても楽しくない!」と叫んだのですた。そして、Aさんはいきなり姿を消すと、両手一杯のバラの花を持って現 れ、ヘルメットに一つずつ貼り付けていったのでした。
  3. 楽しい政治」3…バラ付きのヘルメットをかぶるデモが楽しいかどうかはわかりません が、確かに、そのヘルメットをかぶると、むちゃくちゃたくさんカンパのお金が集まったのは確かでした。その後も、Aさんは(音楽科だったので)、オペラの メロディで「インターナショナル」を歌ってみたり……
  4. 「楽しい政治」4…「佐藤内閣打倒・一晩中ビートルズで踊る夜」を企画して、空 前の数の学生を集め、そのまま翌日デモに行ったりしたのです。その「ビートルズで踊る夜」の時のことです。Aさんの「楽しい」やり方に反感を抱いていた、 「真剣に政治を考える」党派の学生が、会場に乗り込んできました。
  5. 「楽しい政治」5…「楽しければいいのか! もっとマジメに政治を考えろ」という学生に向かってAさんはいいました。「楽しくって、悪いか!」。それから2年「マジメに政治を考えろ」といった学生が 一人残らず、就職したり政治から離れた中で、Aさんだけが変わらず「楽しい政治活動」をしていました。
  6. 「楽しい政治」6…ぼくがAさんに 最後に会ったのは、それからさらに 2年後。桜木町の路上でぱったり。Aさんは水商売をしていて、「水商売をしている女の子たちの組織化」を「楽しく」やっているようでした。「タカハシく ん、子育てしてるんだって? 楽しい?」「うーん」とぼくはうなりました。
  7. 「楽しい政治」7…「あんたねえ、子育ては革命なのよ! 楽しくやんなきゃダメたってば!」 そういえば、Aさんはシングルマザーで子育てしてるという噂でした。「じゃあね」といって、Aさんは立ち去りました。最初に会った時から終始一貫、同じ格 好の超ミニスカートをはいて。
  8. 「楽しい政治」8…この国で政治を論じる人は、どうして、あんなに苦々しそうに、いうのでしょうね。マジメ な顔つきか、怒った顔つきか、うんざりしたような顔つきじゃなきゃ、政治について論じてはいけないのでしょうか。なんか、変だと思ってきたんです。政治っ て、そんなに楽しくないものなのか。
  9. 「楽しい政治」9…それが、人間にとってほんとうに必要なものであるなら、それは人を喜ばすことがで きるはずじゃないでしょうか。ぼくは、一方にAさんを思い浮かべ、そしてもう一方に「楽しくない政治」に関わったせいで死んでしまった友人たちを思い浮か べては、そう思ってきたのでした。
  10. 「楽しい政治」10…では、「楽しい政治」ってなんだ、ってことになりますね。別に、特別なものじゃあ りません。政治的問題に「原理的」に「現実的」に「思いつき」で対応する。それでいい。それで楽しくなる。それで楽しくならなかったら、たぶんどこかで間 違ったと思った方がいい。具体的にいいます。
  11. 「楽しい政治」11…ここ数日のものすごい数のリプライで多かったのは「原則には共感する。 でも、実際にはどう考えるのか」というものでした。一つ、やってみましょう。例はなんでもいいです。わかりやすいところで、日韓両国が領有をめぐって争っ ている「竹島」問題の「解決法」に考えてみます。 about 12 hours ago webから
  12. 「楽しい政治」12…「竹島」問題 「解決策」の1…竹島(東島・西島を含む全岩礁)を青い布で覆う…なんのことだかわからないって? もしぼくが宇宙人だとして、竹島の領有をめぐって二つの国が争っているのを見たら不思議に思うでしょう。「地球人諸君、きみたち、解決策を知ってるじゃな いか」と。
  13. 「楽しい政治」13…梱包芸術家クリストは、巨大な島を布でおおい、そこには何もないよといいました。人間には「想像力」が あって、目に見えるものを見えないといったり、目に見えないものを見えるといったりする。芸術にできるなら、政治にできないわけがない。あそこは海だと思 うことにするのです。
  14. 「楽しい政治」14…「竹島」問題「解決策」の2…領有権が決するまで(ということは永遠に)竹島を国連の信託統治 下に置く(可能です)。その上で、国連が主催する巨大カジノを作り、その収益をすべて難民のために使用する。「悪をもって善をつくる」というわけです。
  15. 「楽 しい政治」15…「竹島」問題「解決策」の3…常設国連軍(そのうち説明します)の演習基地とする。砲弾やミサイルを打ち込み続け、0・23平方キロしか ないこの岩礁を消滅させてしまう。なにもなければ争いも起こり得ませんね。竹島が消滅したら、次の演習地は、次の領有権係争地に移りましょう。
  16. 「楽 しい政治」16…ぼくの「竹島」問題「解決策」は、ふざけていると思いますか。とんでもない。逆です。現在の国民国家という制度の下では「領土」問題は解 決できません。それが「原理」です。「領土」問題は国民国家というシステムの「外」に出ることによってしか真に「解決」することはないのです。
  17. 「楽 しい政治」17…テレビや新聞や雑誌で、政治をめぐる問題を、「専門家」たちが、難しそうな顔つきで「現実的」に語っているとしたら、疑うべきです。ほん とうに、それが問題なのか。他に解決策はないのか。彼らは、いまある現実をすべて受け入れた上で議論しているだけではないのか、と。
  18. 「楽 しい政治」18…普天間基地を含む米軍基地はすべて撤去する、これがぼくの考えるもっとも「原理的」かつ「現実的」な案です(ただし、もっと「原理的」で 「現実的」で有効な案があれば、すぐに、それに乗り換えるということはいってありますね)。その理由についてはまた話す機会があるでしょう。
  19. 「楽 しい政治」19…政治もまた我々の「現実」です。だから、我々はあらん限りの「智恵」と「想像力」を用いて、それを「有効」に使う術を知るべきです。こん な面白い事柄を「専門家」だけに任せるなんてあまりにもったいない。「専門家は保守的だ」。これはぼくの好きな言葉です。そう思いませんか?
  20. 「楽 しい政治」20…「外国人参政権」をめぐって「すべての在日外国人に地方・中央を問わず完全な選挙権を与えよ」といった人がいます。明治14年、大日本帝 国憲法に先んじて出された、植木枝盛の「東洋大日本国国憲案」第 4編・40条の内容です。いまの日本人より遥かに「面白い」じゃありませんか。
  21. 「楽 しい政治」21…植木枝盛たち当時の民間憲法制作者たち(何十も!)の作った憲法がどれも滅法「面白い」のは「原理的」だからです。そして、彼らが「原理 的」だったのは、政治というものが他人のものではなく自分たちのものだと考えていたからです。負けちゃいられませんよね。今夜は、ここまで。

     ★            ★

高橋源一郎作品はたった1つ。残りはずいぶん前に読み終えたもの。

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