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2010-05-13

モダンタイムス、病室で読むエンターテイメント

伊坂幸太郎「モダンタイムス」。借りたままになっていた。オネーサン、返します。よろしく!!

3月末に入院して4月初めまで入院していた。その際に読んだ本の1つ。個室を確保できたので、ゆっくり読めたわ。

さて、物語の中身自体は、ほとんど忘れてしまった。物凄い健忘症。不安になるな。
ただ、この本を読んでいると、若い看護士さんから「伊坂幸太郎、わたしも好きなんですぅ・・・」と声をかけられたことを思い出した。「伊坂幸太郎を好む美しきナース嬢、悪くないね」と答えると、ニッコリと職業的に微笑んでくれた。あくまで職業的にだったけどね。

忘れてしまったので何とか記憶の欠片でも拾えないかと、あらためてパラパラとページを捲ってみた。すると、この物語が近未来を舞台にしていることに気づいた。物語のフレーム自体を忘れてしまっていたのだ。
しかし、描かれる日常風景やITなどのテクノロジーは、現在とほとんど変わらないように見える。パラパラとページを捲ってランダムに情景を読んでも、いまと大差のない光景が広がっている。
このあたり、エンターテイメント小説としては、どうなんだろ?とちょっと首をひねってしまった。
もちろん、「SF小説というわけでもないし、そんな違和感などこの小説の瑕疵にはならないよ」とする考えも間違っているわけではない。ただ、オレという読者は「ディテールで楽しみたい」というタイプなのだ。エンターテイメントであればあるほど、細部のリアルをきっちり描いてほしいと思ってしまうな。

学校襲撃事件があり、ハッキングがあり、多くの酷たらしい犯罪があり、それらを統合する格好で恐ろしい超管理社会の到来がある。話はとっても盛りだくさん。いささか焦点が絞り切れていない感じがしないでもない。
とっても小さなことで恐縮せざるを得ないのだが、笑ってしまったのは、物語を支えるキーパーソンの一人が未来予知ができる超能力者で、彼は競馬の馬券を当てて巨万の富を得たというあたり。
元・馬券狂としては、さすがに「そりゃ、ないよ」と呟いてしまった。せめて、金融市場や不動産などのマーケットで目も眩むような利得を得たという感じにしてほしかった。というのも、ここでは競馬ではなく、マーケットで巨万の富を稼いだとするのが、ディテールのリアルだと思うからである。

「ディテールで楽しみたい」というのは、換言するならば大いに荒唐無稽であってほしいエンターテイメントの世界にあって、逆に小さなところでのリアリティを担保してほしいという希求にほかならない。
細部のリアリティこそが、エンターテイメントに命を吹き込む。荒唐無稽を楽しむためには、リアルな固さのしっかりした支え棒がそれなりの数量で用意されていたほうがよろしいと思うのだ。

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