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2010-04-28

横道世之介、面白うてやがて悲しきバブルの青春

吉田修一「横道世之介」。

これまで、この作者の作品をほとんど読んだことがなかった。読みもせずに、勝手にクールなイメージを抱いていたが、横道君の登場ですっかり印象が変わった。素敵で楽しい青春小説である。他の吉田作品も読んでみようと思わせる傑作だ。

バブルの東京を汗をかきながら歩きまわる横道くん。個人的には「バブル期の青春」とは時期的に重ならないが、彼にはどこかで出会ったような気がする。
作品の基調をなすノスタルジックな既視感。しかも、この感覚はバブルを知らない若い世代にも共有できるような性格のものだ。
なぜかというと、いつの時代にも横道君(のような友)が確実に存在するという信憑があるからである。アイツにそっくり。いたよなあ、こんなヤツ。
しかし、この信憑は思い込みであるといわざるをえない。本当のことをいえば、私たちが現実にこれほどの「無垢な魂」に出会うことは、ほとんどない。横道君は青春という夢のなかの登場人物なのだ。

青春という夢と絶望。面白うてやがて悲しき鵜舟かな。幾分かは作者自身をモデルとしたであろう横道君。彼を見つめる作者のまなざしは優しい。私たちは、読み始めるとすぐにそんな柔らかな優しい視線を共有することになるのである。

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