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2010-04-29

日本サッカーの現状はどうなってるのか?

岡田康宏「日本サッカーが世界で勝てない本当の理由」。

仕事の合間にチョコチョコと斜め読み。読み終えての感想は、その内容において「可もなく不可もなし」といったところ。
日本サッカーの現状や課題、将来に向けた対策などについて、とりあえずの「正論」が示されている。
著者の認識・判断は、そのほとんどが正しいだろう。 でも、刺激的なタイトルに惹かれてこの本を手に取った者からすると、いささか「肩透かし」を食った印象は否めない。

日本協会の無能ぶりと場当たり主義への激しい怒りが表明されると思いきや、あまりに真当で適正な批判があるばかり。
協会の場当たり主義の所産たる現代表監督に対しても、その非力と不見識を嘆き、その懐の狭量ぶりを大いに嗤うのかと思っていたら、そんなふうでもない。
サッカー界という狭い世界での取材を続けていくとなれば、おのずと筆跡にセーブがかかるのか。インサイダーでなければ、真実には触れることができないが、そうであるがゆえに取材対象を追いつめることはタブーとなる。
スポーツ・ジャーナリズムに限ったことではないが、取材対象が狭い世界があればあるほど、この種の矛盾に遭遇することになるのだろう。

その点からすると、この本でも紹介されていた宮崎隆司「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」という本を読んでみたくなる。
アウトサイダーたるイタリア人監督5人が岡田監督の戦術にしきりと首をひねっているという。これは楽しそうである。
代表監督の悪口を吹聴すること。世界のフットボール・ネーションに共通する楽しみであることは間違いないが、それ以外の楽しみが見いだせそうもないこの国の代表チームが悲しい。

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2010-04-28

横道世之介、面白うてやがて悲しきバブルの青春

吉田修一「横道世之介」。

これまで、この作者の作品をほとんど読んだことがなかった。読みもせずに、勝手にクールなイメージを抱いていたが、横道君の登場ですっかり印象が変わった。素敵で楽しい青春小説である。他の吉田作品も読んでみようと思わせる傑作だ。

バブルの東京を汗をかきながら歩きまわる横道くん。個人的には「バブル期の青春」とは時期的に重ならないが、彼にはどこかで出会ったような気がする。
作品の基調をなすノスタルジックな既視感。しかも、この感覚はバブルを知らない若い世代にも共有できるような性格のものだ。
なぜかというと、いつの時代にも横道君(のような友)が確実に存在するという信憑があるからである。アイツにそっくり。いたよなあ、こんなヤツ。
しかし、この信憑は思い込みであるといわざるをえない。本当のことをいえば、私たちが現実にこれほどの「無垢な魂」に出会うことは、ほとんどない。横道君は青春という夢のなかの登場人物なのだ。

青春という夢と絶望。面白うてやがて悲しき鵜舟かな。幾分かは作者自身をモデルとしたであろう横道君。彼を見つめる作者のまなざしは優しい。私たちは、読み始めるとすぐにそんな柔らかな優しい視線を共有することになるのである。

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