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2006-11-27

ヘッジファンド、LTCMの興亡、ドリームチームの崩壊・・・

失せ物と化していたメモ帳が見つかった。長い空白を経て、メモは復活する。

ちょこっと読んだだけの本が枕元に溜まっている。そんな読みかけの本の山からデタラメかつテキトーに「任意の1冊」を引っ張り出し読む。
不良債権処理のような読書だから、何とも楽しくない。だが、残念なことに最近はいつもこんな感じで本を読んでいるのである。

1998年に破綻した「ロング・ターム・キャピタル・マネジメント」(LTCM)の創立から破綻に至る道筋を創立者のジョン・メリウェザーを中心に描き出したドキュメント。
真夏のべとべとした暑気のなかで読み始め、「ああ、面白くねー」と放り投げていた1冊。このまま読まずに捨ててしまうのはもったいないので、最後まで読み通すことにした。ただ何がもったいないのかというと、実はよく分からないんだけれど。

当時、LTCMは史上最大にして最強のヘッジファンドと喧伝されていた。マイロン・ショールズとロバート・マートンという2人のノーベル賞学者を擁するLTCMのパートナーたちは「ドリームチーム」とも称され、その運用パフォーマンスは驚愕すべき高水準を維持し続けていた。同業の輩から注がれる畏怖と羨望の入り交じったまなざし。何をやっているかよく分りもしないオレのような貧乏人でさえ、「デリバティブって、儲けるんだろうな・・・」と根拠もなく憧憬の念を深めていたほどである。
ウォール街の投資銀行は、相争ってドリームチームにカネを差し出したがり、LTCMのパートナーたちのほうは、極端な秘密主義で自らのポートフォリオの組成を隠しつつ、カネを投じたがる連中に対して尊大かつ高圧的な態度で応じていた。

これがこけたのである。ドリームチームの崩壊、スーパーリッチの破綻、スーパーセレブの恥辱、神々の黄昏・・・面白くないはずがない。そう思って読み始めたのだが、すぐに飽きてしまい、放り投げていたのである。

読み終えて、結論を述べる。文庫本のくせに長ったらしく(解説と注を入れると、480ページもある)、専門用語の解説もお粗末。訳文もこなれているとは言いがたい。すぐに放り出したわけだ。でも、一気に読み進むと、けっこう面白いところもある。

以下、感想めいたものを列挙しておこう。

  • LTCMが行った取引の中味についてはよく分からんかったが、つまるところマーケットとは「巨大な賭博場」なのだ、ということはよく分かった。

  • 構築した独自の「モデル」のもとで結束していたLTCMのパートナーたち。だが、深まる危機の前では、彼らの結束もあっという間に瓦解してしまう。カネを媒介にした関係とはそういうものなんだろう。
  • ニューヨーク連銀が中心になり、行き詰まったLTCMの救済策が練られ、ウォール街の投資銀行経営者たちによる交渉が夜を徹して続けられた。腹の探り合い、怒鳴り合い、恫喝と懐柔と・・・なるほど、こんなふうにどでかい危機はソリューションを与えられるものなのか。
  • 銀行団はLTCM処理に36億5千万ドルを投じることになった。破綻したLTCMだが、パートナーたちのその後をみると、相変わらず豪邸に住み続ける富者なんだよな。メリウェザーをはじめとするLTCMの主要パートナーは、1年後には新しいファンド(JWMパートナーズ)を立ち上げている。
  • しかし、ウォール街で長く記憶される教訓は少ない・・・「敗者復活」と副題を付されたエピローグの一文である。賭博の世界を構成する最重要の原理は、「懲りないこと」なんだろうな。

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